• コラム

2015年2月18日 | カンボジア

カンボジアサッカー、インフラの現状と期待される日本企業の進出

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リーグ開幕に向けて改装工事中のオリンピックスタジアム

サッカークラブの成長において欠かせないものの一つであるホームスタジアム。それはクラブが自身の存在意義を示す舞台であり、そのクラブを愛するサポーターたちにとっての集いの場である。また、サッカークラブの収入の大部分に当たるスポンサー、物販、入場料の基盤を作る上でも必要不可欠なものだ。

カンボジアには1982年に創立されたプロサッカーリーグが存在するが、今でもほとんどのチームがホームスタジアムを所有していない。リーグ戦は各チームが首都プノンペンに集まるセントラル方式によって実施される。サッカーのフルコートグラウンドというのもプノンペン近郊でさえ数カ所のみで、他地域の州が管理するグラウンドに至っては荒れ地状態と化したものも存在する。カンボジアサッカー連盟(Football Federation Cambodia以下:FFC)としても選手・指導者・審判等の人材発掘、選手育成、競技普及などと並び、サッカー環境の整備についても改善策を模索しているのが現状だ。

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ナショナルフットボールセンター 天然芝グラウンド

プノンペン中心部から車で40分ほどの郊外にFIFAからの援助を受けて建てられたナショナルフットボールセンターという施設がある。これはFFCが2023年のSea Games(東南アジア競技大会)での優勝という目標を達成するために設立した言わば強化施設で、天然芝グラウンド4面、宿泊施設、食堂、会議室などを備えている。ナショナルチームの合宿をはじめ、レフェリーの講習会、サッカー大会の会場としても使用されている。このようなサッカー環境はカンボジアでは他にはない。

カンボジアで身近にあるスポーツ施設といえばフットサルコートがある。プノンペン中心部には40近くのフットサル施設が点在しており、屋根や照明などの設備も充実している。時間帯や立地などによるが、使用料金は1時間10〜20ドルほど。地元の人々がフットサルを楽しんでいる姿が見受けられる他、日系サッカースクールが練習会場として使用したり、施設が企画する大会なども開催されたりしている。先日行われた少年サッカー大会では、フットサルコート3面を使いサッカーコートとして使用していたが、やはりサッカーグラウンドで試合をさせたいという指導者の声もあった。

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プノンペン中心部にあるフットサルコート

ここ数年で日本サッカーのアジア諸国への進出が進んでいる。選手の活躍はもちろん指導者、マネジメントの人材の需要もあり、各地で日本人が活躍の場を広げている。高度な技術力、経験値、ノウハウを持ったジャパニーズクオリティーこそ、まさにサッカー発展途上国が求めているものなのだ。

前述のサッカー施設が不足している問題についても同じことが言える。昨年のFIFA ワールドカップブラジル大会ではスタジアムの新設や増改築をする際にスタジアムの屋根、外壁、ベンチ、排水のパイプ、セキュリティーシステムなどに日本の技術が採用された。こういった実績を持つ(あるいはこれから海外展開を狙う)日本企業のアジア市場の拡大がますます加速するのではないだろうか。

実際のところ東南アジア、特にタイへのスポーツ施設関連企業の海外展開が既に進んでおり、その動きは近隣諸国へも広まりつつある。ここカンボジアでは電力供給が不安定な点や地方への交通インフラ整備など、企業が進出するにあたり懸念される問題もあるが、カンボジア政府とカンボジア日本人商工会が定期的にそれらの改善に向けて議論する場が設けられるなど、カンボジア政府も日本企業の進出を重要視していることが分かる。ハード面でサッカー大国ブラジルを勝るとも言える日本の技術が、日本がアジアサッカーを牽引する一つの要素となることを期待したい。

(アジアサッカー研究所/新藤)