• コラム

2015年5月14日 | ベトナム

乗松監督率いる新生ベトナム女子代表、東南アジア女子選手権ベスト4止まりも確かな手ごたえ

ベトナム女子代表

ベトナム女子代表

日本人サッカー指導者の乗松隆史監督が3月に就任し、新監督体制で臨むサッカーベトナム女子代表の初の国際大会「AFF女子選手権(東南アジア女子サッカー選手権2015)」がベトナムのホーム、ホーチミン市トンニャットスタジアムで5月10日まで行われた。ベトナムは今大会で優勝を目標に掲げながらベスト4に終わったが、今回のチームには、これまで見られなかった攻撃面でのハードワークが見て取れたほか、若手の台頭など幾つかのポジティブな要素が発見できた。

ベトナムは初戦で、近年躍進著しいミャンマーと対戦。フィジカルが強いミャンマーに1対1で競り負けて押し込まれる場面もあったが、ベトナムは効果的な攻撃と持ち味である粘り強い守備を見せ、3-2で競り勝った。なお、ミャンマーは昨年まで日本人の熊田喜則監督が指揮をとって、急成長を遂げており、今では東南アジアの強豪として、タイ、ベトナムを脅かす存在となっている。

初戦でこのミャンマーを3-2で下したベトナムは、続く第2戦と第3戦で格下のマレーシアとフィリピンに7-0、4-0で大勝。グループステージ3戦全勝で準決勝進出を決めた。特にマレーシア戦では、若手注目株のMFグエン・ティ・トゥエット・ズン(21歳)が左右両方のCKから直接ゴールを記録する離れ業をやってのけ、世界のメディアから注目を浴びた。

準決勝の相手は、昨年のAFC女子アジアカップ5位決定戦で敗れた因縁の相手タイ。タイはこの試合に勝利し、ワールドカップ初出場を決めた。奇しくも同じトンニャットスタジアムでの再戦で、リベンジに燃えるベトナムだったが、延長戦の末1-2で敗れて再び苦汁を味わった。

3位決定戦では、圧倒的なフィジカルを誇るU-20オーストラリアと激突。開催国としての意地を見せたいベトナムだったが、激しい点の取り合いの末3-4で敗れ、ベスト4の成績で大会をあとにした。

同大会で過去最低の成績に終わったベトナムだが、前述したMFグエン・ティ・トゥエット・ズン(21歳)やFWフイン・ニュー(24歳)など90年代生まれの若手が次々と台頭し、今後に期待が持てる内容ではあった。システムは、約7年間に亘る長期政権を敷いた中国人のチャン・バン・ファット前監督時代の5-3-2から4-4-2に変更。ポゼッションを重視し、より攻撃的なサッカーを目指した。一方で、やはり課題も残った。特に準決勝と3位決定戦の失点パターンを見れば分かる通り、最終ラインの統制と試合の運び方には、明らかな経験不足が見て取れた。乗松監督自身も試合後の記者会見で敗因の一つとして経験不足を挙げている。

サポーターとの記念撮影に応じる乗松監督

サポーターとの記念撮影に応じる乗松監督

東南アジア女子サッカー界の勢力図は、オーストラリアがASEANサッカー連盟(AFF)に加盟したことにより大きく様変わりした。近年は、タイとミャンマーも着実に力をつけてきており、東南アジア最強を誇った「ゴールデンガールズ(ベトナム女子代表の愛称)」の時代は既に終わりを迎え、現在はタイ、ベトナム、ミャンマー、オーストラリアの4強時代に突入している。

そんな中、乗松監督に課せられた使命は、若手の底上げと東南アジア王者への返り咲きを見据えた代表チームの再建だ。今大会では、次世代の代表選手がある程度の結果を残したことで、今後の布石を打てたと言えよう。

なお、ベトナム女子代表は5月15日から22日までオーストラリア遠征を実施する。女子サッカーの強豪国でキャンプを行うことは、ベトナムにとって今後の大きな糧になるだろう。

(アジアサッカー研究所/佐藤)