• コラム

2014年10月5日 | インドネシア

インドネシアとJリーグの「提携」がもたらす大きな可能性

ISL

近年、目覚ましい経済成長を遂げている東南アジア。Jリーグもその波に乗り遅れまいと、2012年に「アジア戦略室」を設け、少しずつアジア進出を目指している。そして今年から「提携国枠」を導入した。Jリーグが現在提携しているのはインドネシアやタイなど東南アジア6カ国。この枠を導入する際に、Jリーグも「JリーグおよびJクラブのアジア向け成長戦略の推進支援を目的とする」とはっきり述べているように、この枠は実質「東南アジア枠」とも言うべきものであり、Jリーグの東南アジア進出が今後ますます加速していくことが考えられる。今回は、この東南アジア各国の中でも、インドネシアに焦点を当てて見ていきたい。

インドネシアは2億人を超える人口のほとんどがサッカーに熱中していると言っても過言ではないくらい、サッカー熱が高い国である。街を歩けば、マンチェスターUやバルセロナなどのユニフォームやジャージなどを着ている多くの人々に出くわす。ACLに2年連続で出場していることもあってか、サンフレッチェ広島のユニフォームを着ている人に出会うこともあった。Jリーグに興味を持っている人々も少なからずいる事を筆者も実感している。

サンフレッチェ広島の他、インドネシア人の口から名前が出てくるJリーグクラブは柏レイソル、浦和レッズ、ガンバ大阪など。ACLに出場し、結果を出したチームがやはり知られている。インドネシアリーグに所属するクラブと対戦する機会が増えてくると、ますますJリーグクラブの知名度も高まっていくのだろうが、インドネシアリーグからのクラブは2012年大会プレーオフに参加したのを最後(本戦出場は11年が最後)に出場していない。

インドネシアリーグは2013年までリーグが2つに分裂していた事実や、八百長問題や給与未払いの常習化など数々の問題を抱えている。一定の実力を有するということの他にも、「昇降格制度」、「クラブライセンス制度」の導入を義務付けるなど、年々参加条件が厳しくなりつつあるACLに再び参加するには、これらの問題をクリアしていかなければならない。現在、クラブライセンス制度を導入すべく、クラブ審査が行われているが、早急にこういった問題が解決するかは未知数である。

Jリーグがインドネシアを含め、東南アジア市場開拓を目指すためには、単なる選手間同士の移動により生じる短期的効果だけではなく、指導者やリーグ運営者の派遣、トレーニング方法の伝授など、長期的視野でインドネシアリーグ、ひいてはインドネシア全体のサッカー強化に携わっていくことが必要ではないか。それはインドネシアサッカーの強化だけに留まらず、日本企業が新たな活路を見出すきっかけにもつながる。

今年7月、ジュビロ磐田の代表取締役である高比良慶朗氏らがリーガ・インドネシアのオフィスを訪れたというニュースがインドネシアで報道された。ジュビロ磐田が来シーズン前のキャンプをインドネシアで行うことを計画しており、その候補地の視察が主な目的で、インドネシアU-19代表やU-23代表の練習試合見学も併せて行った。

このジュビロのインドネシア進出計画はスポンサーであるヤマハの存在が大きく関係しているのではないか。日本製のバイクが9割以上のシェアを占めるインドネシアだが、その中の約6割はホンダで、ヤマハは3割程度である。ヤマハがジュビロと協働して、インドネシアでのシェア拡大を狙う考えがあっても不思議ではない。Jリーグクラブのスポンサー企業が、インドネシアの市場開拓をしていく際に、クラブと協働していく事例が今後増えていくことは充分あり得る。

長期的視野から眺めると、リーグ運営の改善や育成年代の強化から関わっていくことで、インドネシアリーグの経営が安定し、レベルが向上すれば、今以上に選手間の移籍やACL、国際Aマッチなど大舞台での対戦なども当然増えてくるだろう。それだけでなく、インドネシアに進出したいと考えている日本企業に及ぼす影響も大きなものになっていくはずだ。

Jリーグが上手くインドネシアの可能性を引き出すことができれば、サッカー界を超えて両国に大きな効果をもたらすだろう。インドネシアが求めていること、彼らのレベルアップに必要な要素を見極め、Jリーグが適切なアプローチをしていくことを期待したい。

(アジアサッカー研究所/平井)