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2016年1月23日 | インド

2015年、激動のインド。止まらないサッカー熱!

ISL (インドスーパーリーグ)が開幕し、2シーズン目を迎えた2015年のインドサッカー。毎年、経済成長率7%超えている激動のインド。そして、近年の止まらないサッカー熱。まさに経済成長率と比例しているかのように、毎年サッカー熱は膨らんでいく。そんな激動のインドサッカー2015年を振り返ってみたい。


インドサッカーに不協和音をもたらした2つのリーグ
IMG_20150908_2008112015年もインドでは2つのリーグが開催された。上期に行われたのは、2007年に発足された国内初のプロフェッショナルリーグIリーグ。下期に行われたのは2014年から始まったISLだ。2015年の両リーグは、最後の最後まで結果の分からない激闘で幕を閉じた。Iリーグでは、日本人である遊佐選手も活躍したモハンバガンFCが優勝。

ISLでは、元イタリア代表でもあるマテラッツィ監督が率いたチェンナイインFCが、ジーコ監督率いたゴアFCをプレーオフの末3対2で勝利し優勝した。プレーオフ最終戦、最も大事な試合の笛を任されたのは日本のレフェリーチーム。しかし、試合後審判団に抗議が殺到した。試合後の夜に滞在先を変更せざるおえない状況にまで発展した。

しかしながら、ISLで活躍した日本人も存在した。日本生まれ、現在はインド国籍の和泉(アトレティコ・デ・コルカタ)だ。今シーズンなんと5得点を挙げる活躍で、チームの中心として活躍した。チームからの信頼も強く、チームの中心としてプレー。来季の活躍も期待されている。

これだけISLは世界中から注目を浴びているが、FIFAの規定では1国1リーグ制となっている。ISLが始まって2シーズン目、この2つのリーグが共存していくことができるかが、2015年の鍵であった。しかし、様々な問題が各地で起こってしまった。ISLにはビッグスポンサーがつき、連日ニュースでも大きく取り上げられ、テレビ放送も欠かさずされる。そのため既存のIリーグのクラブはどうしても人気薄になり、クラブの存続が難しくなっていく。

マハラーシュトラ州にあるプネFC (Iリーグ)は今シーズン限りでIリーグを辞退することを決定した。その要因としては、2014年のISL開幕に伴い、同州にFCプネシティ (ISL)が作られた。そのため観客動員数も減り、Iリーグ辞退へと追い込まれた。他にも辞退を検討するチームが増えている。

世界的に有名な選手を揃えるISLのチーム。地元の選手中心に活動しているIリーグ。2016年も体制は変わらない見込みだ。AIFF (全インドサッカー連盟)はIリーグを国内唯一のリーグ、ISLをトーナメントと位置付けしている。数年後には統合する見通しではあるが、具体的なロードマップは未だ発表されていない。


歴史的敗戦、その背景に見るインドサッカーの現状

2018年ロシアで開催されるワールドカップアジア2次予選が2015年に行われた。悲劇が起こったのは6月16日。インド対アメリカ領グアムの試合だ。なんと人口世界第2位12億人以上を有するインドが、人口16万人の島国であるアメリカ領グアムに2対1で負けてしまった。試合が開催されたときの両者のFIFAランキングは、インドが141位、グアムが174位。試合後、インドの監督は「現在のグアム代表の選手の75%は米国で生まれ育ち、世界最高基準のサッカー教育を受けている。その差が如実に表れた。」とコメント。この発言の裏にまだまだサッカー教育が行き届いていないインドサッカーの現状が垣間見えた。

IMG_20160122_130903道路もまだまだ整備されておらず、牛、オートリキシャー、自動車、バイクが混在し、世界一とも言われている環境汚染が街を覆う。まともなサッカーグランドさえない環境で、2017年U-17W杯の開催が決まっている。もちろんスタジアム建設の問題やレフェリーの質の改善などは遠く及ばない。質の高いサッカー教育など実現不可能である。

子供たちは、ゴールデンエイジの時期にクリケットをして過ごし、その後、13、14歳になってからサッカーと出会う。国内にスーパー選手もおらず、サッカーに興味を持つ子供が少ないのが現状だ。そんな中2015年、インドの都市部ではサッカーアカデミーやサマーキャンプなどが盛んに行われるようになってきた。指導者はヨーロッパや南米から呼び寄せている。と説明してくれたのは、インド第3の都市バンガロールにてサッカーアカデミーを経営するインド人だ。

チームの監督はオランダ人、インド全土からセレクションをし、生活の世話や学校教育も提供している。U-15インド代表も抱えている同チームは、2017年W杯に向け代表で活躍できる選手を育成している。監督は「サッカーと出会う年齢は早い方がいい。インドにはまだU-7の育成機関が少ない。もっと幼少期からサッカーに触れ合う機会を作るべき。」と説明してくれた。

運動能力も高く、真面目に練習する様子は、ポテンシャルを感じさせる。2017年まで、残りわずか。日本でも現在U-15代表に選ばれている久保建英(FC東京U-15むさし)がおそらく代表に選出され、インドでプレーするだろう。1993年に日本で開催されたときに活躍したのが、中田、中村、宮本、戸田、松田などの黄金世代だ。注目される大会になることは間違いないだろう。

2016年、サッカー熱は子供達にも広がり、これからサッカー人口がますます増えるインド。街中でもサッカーをする子供達が増えてきている。人口が多いだけに一度サッカー熱が爆発すれば、世界中が注目するだろう。今はまだ潜伏期間に過ぎない。

(アジアサッカー研究所/木米)