• コラム

2016年4月15日 | シンガポール

日系研修会社がサッカーを利用した海外人材育成プログラムを実施

4月1日のゲイラン-ウォリアーズ戦で選手たちに声援を送るゲイラン側観客席のサポーターたち

4月1日のゲイラン-ウォリアーズ戦で選手たちに声援を送るゲイラン側観客席のサポーターたち


「Sリーグの試合に100人のサポーターを集めよ。準備期間は1週間」

4月1日にシンガポールのジャランベサルスタジアムで行われたゲイラン・インターナショナルFCとウォリアーズFCとの一戦で、そんなミッションを受けて動いていた日本人グループがいた。

これは海外研修事業などを手がける研修会社の「スパイスアップ・グループ」が、グローバルなビジネスシーンで活躍できる人材の育成を目的とした社会人向け海外研修プログラムの一環として実施したもの。同社では東南アジア各国でグローバル人材育成のための様々なプロジェクトを実施しており、今回の試みはSリーグチームの「ゲイラン・インターナショナルFC」の協力を得て実現した。

同プロジェクトに参加したのは、大手鉄道会社で車両整備や窓口業務などを担当する若手社員6人。マーケティングやイベント等に業務で関わったことのない人ばかりで、研修中に通った語学学校の仲間や現地で知り合った友人に声を掛けたり、地元サッカーチームのコーチと連絡を取って子供たちを招待するなど、試行錯誤しながらミッションに取り組んだ。結果として目標とした100人を超えるサポーターの集客に成功し、急きょチケットを追加することになった。

Sリーグではここ数年、毎試合の観客数を公表していないが、昨季の1試合あたりの平均観客数は1000人を割り込んでいたと言われており、人気と注目度の低下が懸念されていた。今季は、タンピネス・ローヴァーズにアーセナルやリヴァプールで活躍した元イングランドU-23代表MFジャーメイン・ペナントが加入したことや、昨季まで隣国マレーシアのリーグ戦に参加していた「ライオンズXII(トゥエルブ)」の解散によりシンガポール代表や同U-23代表で主力を担っていた選手たちが一斉にSリーグへ加わったことで、開幕節の1試合あたりの平均観客数が2000人を超えるなど、人気回復の兆しも見えてきている。

しかし、注目選手が少ないクラブ同士の対戦では、依然としてスタンドに空席が目立つケースが多いのが現状だ。この日のゲイラン-ウォリアーズ戦でも、最大で6000人収容できるジャランベサルスタジアムのメインスタンド2階とバックスタンドを閉め切っていたにも関わらず、1階観客席がサッカーファンで埋め尽くされることはなかった。それだけに新たな観客を100人以上集めた今回のプロジェトは、協力したゲイラン側からも高く評価されたという。

プロジェクトリーダーを務めた富岡直也さんは、「集客のツールとしてフェイスブックなども活用したが、一番効果的だったのは直接つながりのある人たちを通した口コミだった。時間が限られている中で非常に困難な課題だったが、とても良い経験になった」と結果に手応えを感じた様子だった。

今回のプロジェクトを仕掛けたスパイスアップ・シンガポールの四方健太郎マネジングディレクターは、「サッカーは東南アジア全域で人気のあるスポーツで、現地の人々と共通の話題をつくるツールとしても活用できる。フィールドワークで現地の声を直接聞くことは、グローバル人材の育成に欠かせないステップのひとつだと考えている」と話し、海外研修事業として今後もサッカー関連のプロジェクトを組み込んでいく意向を示した。

(アジアサッカー研究所/安藤)