• コラム

2017年1月25日 | フィリピン

フィリピンサッカー、人気低迷続く中でプロリーグの来期再建なるか?!


フィリピンでスポーツといえばバスケットボールというほどバスケットボールはフィリピンで強い人気を誇るスポーツであるが、圧倒的な差は否めないもののサッカーも徐々に人気を伸ばしてきている。サッカー人口もアマチュアレベルでは徐々に増えつつあり、一般の人に開放されているオープンプレイ(日本で言う個サル的な類)も昨年に比べると非常にたくさんの人が集まりサッカーが盛んになってきていると感じる。最近ではアマチュアの男女を対象としたトレーニング教室やクラブなんかも人気が出始めており、先日Fox Sports Asiaという番組でも特集されたほどだ。

徐々にフィリピンでもサッカーに力を入れ始めていることが垣間見えるのがサッカー環境の変化である。4-5年前までは、でこぼこの土のグランドであったり、整備のされていない芝なのか雑草の集合体なのか分からないようなところでのサッカーの試合を行わなければならなかった。これはアマチュアもプロも同じ状況で、そのような環境で試合も練習も行われていた。しかし今となっては公式サイズではないものもあるものの、人工芝のスタジアムの建設が続々と進み、今となっては日本と大して変わらない環境でサッカーができるまでに改善された。今年フィリピンとミャンマーで共同開催されたスズキカップでは、フィリピンはタイ、シンガポール、インドネシアを自国に招き国際試合を行っている。各試合の結果は下記のとおり

vs シンガポール 0-0 引き分け
vs インドネシア 2-2 引き分け
vs タイ     0-1 負け

15126281_10155398871549692_641000560_o


そのときの会場となったのがフィリピン国内でNo.1の観客席数(25,000人)を誇る「フィリピンスポーツスタジアム」であり、フィリピンも遂に国際大会のホストを務めることができるまでに成長した。尚、スズキカップの結果としては優勝のタイや、準優勝のインドネシアの傍ら、フィリピンはグループリーグ敗退となっており、ホスト国としては後味の悪い結果となったが、これについてフィリピン代表(通称「アスカルズ」)の監督は下記の通りコメントしている。

「見て分かるとおり、とてもフラストレーションを感じている。我々は一度も勝ち星を挙げることなく、その結果第2ラウンドに進出することができなかった。私が言えることは、選手たちは一生懸命にプレーしできる限りのことを尽くしたが、そこに結果は伴ってこなかったということだけだ。この結果は本当にガッカリさせるものであるが、我々は立ち止まらずに気持ちを切り替え、次に備えなければならない。」

2010年に遡るが、フィリピンがホーム、インドネシアをアウェイとして国際試合を行う機会があったのだが、当時フィリピンには数万の観客を収容できるスタジアムがなく、フィリピン代表チームはホームであるにもかかわらず、ジャカルタ遠征を余儀なくされた。そこで9万人の熱狂的なインドネシアサポーターの前で圧倒的なアウェイ環境の下試合が行われたのである。
まだまだフィリピンでのサッカー熱は多少火がついた程度で観客を100-200人集めるのが厳しいというのが現状であるが、現在フィリピン政府は他国と肩を並べるべくワールドクラスのスタジアム(7万5千人収容)建設案を提出している。予算は3億円ペソ、およそ7億1500万円である。これにより更なるサッカーファン・選手が増え、ユース年代のサッカー選手に夢と希望を与えるという狙いがあるとのことだ。私見を述べれば、多くのスタジアムを作ってサッカーファン・選手が増えるのであれば、ここ4-5年でスタジアムを建設しサッカー環境が改善されたにもかかわらず自国プロリーグ「United Football League」(UFL)のクラブが徐々に減っていっているのはなぜだろうかと疑問に思う。フィリピンでのサッカー人気を向上させるにはやはりUFLが牽引する必要があるだろう。

2016年度、UFLは1部構成となっており、所属するクラブは12クラブであった。そのうち3チームがシーズン中に離脱(Agila MSA F.C.、Pasargad F.C.、Manila Nomads F.C.)、理由としてはほとんどのクラブでスポンサーが手を引いた為である。このスポンサーの問題もなかなか深刻で、財務基盤の強い大手企業スポンサーが付いていない分、このようなスポンサー脱退によるクラブのリーグ撤退のリスクは非常に高い。この背景にはあまり資金に余裕のない企業が趣味の範囲でサッカークラブを立ち上げ、満足のいく結果が出ないと直ぐに手を引いてしまうというケースも少なからずある。

来期は更なるクラブ減少が見込まれており、追加でLaos F.C.、Green Archers Utd、Forza F.C.の3チームが離脱を表明している。ちなみに、日本人オーナー率いる「JPヴォルテス」は継続してUFL参加を表明しているが、必要事項(1. 財政面と経営面の健全性を評価するためのクラブライセンス制度にかかわる必要書類の提出と2. ホームスタジアムを所有していること)を満たさなければサッカー協会から承認が降りない可能性もありえるようだ。

JP Voltes 2016

日本人オーナー率いる「JPヴォルテス」

ちなみにJPヴォルテスの今期の結果は4位で終了しており、勝ち点で見れば2位のCeres-La Salle、3位のLoyola Meralcoと同じく41ポイントだったが、得失点差で4位となっている。しかしながら、リーグ後半戦のJPヴォルテスは優勝を果たしたGlobal FCと2位のCeres-La Salleに対して連勝を収めてリーグを終えている。来期のリーグ優勝も射程距離に見えてきた段階での今回の追加必要事項ということで、何とかここは審査をパスしたいところである。

来期、UFLはPhilippines Football League (PFL) と名前を変え、6チームでのリーグ開幕が予定されている。これまではRizal Stadiumのみで試合が行われてきたが、来期からは各クラブがホームスタジアムを用意し、それぞれのホームグランドにて試合が行われるようになる。これに伴い試合の興行権も各クラブへと移行される。

クラブがホームスタジアムを用意することについての思惑としては、数多くの島の集合体からなるフィリピン全土からのクラブ誘致という目論見もありそうだ。加盟クラブが離脱し、リーグの規模が縮小される中で、リーグ残留組のクラブの選手は「モチベーション低下は否めない」と不満を口にしており、フィリピンサッカー協会は自国リーグの発展を急務としている。

低迷が続くフィリピンサッカーリーグであるが、その大きな理由となっているのが外国人枠規制である。以前は外国人枠の規制はなかったが、3年前に規制がかかった。フィリピン人選手の出場機会およびフィリピン代表チームの強化を目的として制定されたルールであるが、その思惑とは裏腹にリーグのレベルダウン、チーム数減少とマイナス面ばかりが目に付く。実際、リーグ下位チーム群になるとWFL(Weekend Football League)という社会人リーグ2部のチームでも勝ててしまうレベルとなっており、プロリーグ内でも格差がかなり大きいようであった。逆に言えば外国人規制で行き場を失った外国人がWFLに流れ込み、WFLのレベルが上がったという見方がより正確かもしれない。

このように集約されていった結果が、来期のトップリーグ(PFL)が6チームという構成へとつながった。今後、どのようにフィリピン国内リーグを盛り上げていくのか注目が集まる。


(アジアサッカー研究所/田中 洋兵)

※ 本稿は「ハーバービジネスオンライン」にも掲載しています