• コラム

2015年1月2日 | シンガポール

【2014-15】アジアのスポーツハブ・シンガポールと日本サッカーの関係は

FullSizeRender2014年、シンガポールと日本のサッカー界の大きな出来事と言えば、日本代表vsブラジル戦がシンガポールで開催されたことが一番に挙げられるだろう。W杯終了後の新生日本代表として、アジアカップまでの限られた時間の中で、親善試合を日本国外で行ったはチャレンジングな取り組みだった。かつ、誰もが知る強豪国として名高いブラジル代表との試合をシンガポールという中立国で行ったというのも興味深いケースとなった。

東南アジアマーケットに打って出たいJリーグや日本サッカー協会、スポンサーがらみで年に数回アジアで試合を行う予定があるブラジル代表の契約、国際ビッグネームを承知したいシンガポール政府、それらをコーディネートしてビッグビジネスにしたい広告代理店のそれぞれの思惑が合致した結果と言えよう。当然ながら、代表チームの強化(強豪国との対戦およびアジアでのアウェイ経験)という面もカバーしている。

また、2015年2月にはリオ五輪に向けたU-22日本代表がマレーシアで行われる一次予選を前に、シンガポールで合宿を行う予定だ。

すでに人口一人当たりGDPで日本を上回るほどに経済成長シンガポールは、経済一辺倒からアートやスポーツといった分野にも大きく力をいれはじめている。また人口では540万人ほどしかない小国のため、東南アジアの中心地・ハブとしての存続と発展を目指しており、今回の試合で使用された国立競技場は、同じ敷地内の他のスポーツ施設と併せてシンガポール・スポーツハブと呼ばれている。同会場では、ブラジル戦の前に、イタリアからセリエAの名門ユベントスを招致し、シンガポール選抜チームとの親善試合も行われた。また、日本企業が多くスポンサードしている東南アジアサッカー選手権「Suzuki Cup」も今大会はシンガポールの同会場が使用された。2015年は東南アジアのオリンピックとも呼ばれる「SEA Games」が開催される。また、英国プレミアリーグなど欧州リーグのプレシーズンマッチが予定されている

ajiken


地元リーグに目を移すと、Sリーグでは日本やJリーグとの間で目立った動きはなかった。「シンガポールリーグとのパートナーシップ協定」が2013年6月に締結されているが、具体的な活動は少なかったように思われる。

一方、2004年からSリーグに参戦しているアルビレックス新潟シンガポールが2014年シーズンではリーグの最後まで優勝争いを演じるなど、存在感を示している。独立したクラブチームとしての活動は地元サッカーファンにも広く認知されており、シンガポールメディア関係者からも評価が高い。また、アルビレックス新潟Sには2015年からJ1に昇格する松本山雅FCからJ1でのプレー経験の豊富なGK野澤洋輔の移籍が決まっている。Sリーグは過去には元日本代表の戸田和幸も所属している。

日系クラブといえば、アルビレックスと同様シンガポールのジュニア世代のスクール事業を行っているGFA(Global Football Academy)がNFL Division1(実質2部リーグ)に「GFA Sporting Westlake FC」として参戦し、優勝を果たしている。(Sリーグへの入れ替えは行われない)

ジュニア世代のスクールは日系に限らず、多くの海外クラブが進出してきている。人気の高い英プレミアリーグからは、老舗のアーセナルをはじめ、チェルシー、マンUなどが開校しており、ミラン、ユベントス、レアルマドリー、バルセロナなどの有名クラブも人気が高い。

香川真司の所属するボルシアドルトムントのオフィスもシンガポールに開設され、ブンデスリーガとの関係もシンガポールサッカー関係者の話題にもなっている。2015年、ビジネスにおいても日系企業の東南アジア市場進出・強化が話題になる折、Jリーグのアジア展開次第ではそう遠くない将来にJリーグの海外アジアオフィスがシンガポールに設立される可能性もありそうだ。


IFAF年賀ロゴJリーグアジア展開ではその活動の多くがタイやインドネシア、ベトナムなど、東南アジアのシンガポール以外の国で実施されることが多い。ビジネスの世界でも同様にマーケットはシンガポール周辺国にありながらも、企業のマネジメントはシンガポールで行なわれていることが多い。サッカー界においても2015年はさらに東南アジアマーケットに対しての活動が増えていく傾向には間違いないが、その際にアジアのハブ都市であるシンガポールをどのように活用していくのか、今後も注目していきたい。

(アジアサッカー研究所/四方)