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2015年1月15日 | タイ

タイサッカー2014レビュー(3):日タイ連携は、相互に実の伴うステージへ


サッカーは、文化や言葉の壁を簡単に越えられるツールだ


枚挙に暇がないほどトピックに溢れているタイサッカー界は、アジアプロモーションを推進するJリーグにおいても最重要地域となっている。10月にはJリーグ村井 満チェアマン自らがバンコクを訪れ、TPLとD1の全クラブを集めて、Jリーグのマネジメントに関するセミナーを実施している。クラブ間の提携では、既に6クラブがパートナーシップを結んでいる。このクラブ間提携において、強化・育成面で最も成果を出しているのはヴィッセル神戸×チョンブリーFCであり、ビジネス面では横浜F・マリノス×スパンブリーFCだろう。

横浜F・マリノスは「アジアパートナー」というスポンサーカテゴリを設け4社の協賛を獲得したうえ、提携先であるスパンブリーのスポンサー「true」社と自クラブスポンサーの「バイザー」社を繋いで、双方のビジネス活性化に導いている。F・マリノスはスパンブリーとのパートナーシップ以外の活動も積極的で、アジアパートナー「ジヤトコ」社の工場があるチョンブリー県の工業団地でもサッカースクールを開催した。この他にも、セレッソ大阪がタイ語での情報発信を開始したり、タイクラブとは未提携の大宮アルディージャがチェンライ・ユナイテッドと共同でサッカースクールを開催したりと、各クラブとも実績作りに余念がない。クラブ間提携の動きとは異なるが、ACミランの本田 圭佑も、アジア展開に積極的な「ベネッセ」社のサポートを得て、12月に東南アジア初のサッカークリニックをバンコクで開催している。


JリーグはTPLに対し「共に強くなろう」と強調した。


日本とは切っても切れない縁で結ばれつつあるタイ。既に2015シーズンに向けての動きも活発化している。新たにパートナーシップを締結するクラブも出てくるだろう。TPLの外国籍選手の登録枠は7から5に縮小されたが、日本を拠点とする複数の代理人もタイサッカー界に目を向けているため、タイのクラブが日本人選手を獲得する流れは来季も継続すると見られる。指導者も既に、東京ヴェルディで指揮を執っていた三浦 泰年氏がD1のチェンマイの監督に決定、オランダのフィテッセで活動していた林 雅人氏も同じくD1のソンクラー・ユナイテッドの監督に就任している。2015シーズン以降は、この「日本からタイへ」の流れのみならず、タイの選手を獲得するようなJクラブの動きも本格化しそうだし、実際にタイ国内でも、Jリーグアジアアンバサダーの木場 昌雄氏が選手発掘の為にU-14大会を整備し、若年層選手をターゲットとして「タイから日本へ」の選手の流れを構築しようと尽力している。つまり日タイ相互に、スカウティング網が構築されつつあるため、タイのサッカー選手が日本でプレーするのは時間の問題と推測される。

今後、日本とタイのサッカー界の関係はどのように深化していくのだろうか。選手、指導者はトップチーム強化という場でプレゼンスを確保しつつある。自然の流れとして、次はメディカルや普及コーチなど継続的なチーム強化に必要な人材のほか、スポーツディレクターのようなクラブやリーグマネジメントに必要な人材にも注目が広がり、そのノウハウが伝えられるようになるだろう。2015年は、あらゆる接点において両国が関係を築いていく、相互交流元年となるはずだ。(了)

(アジアサッカー研究所/長谷川)

>>タイサッカー2014レビュー(1/3)
>>タイサッカー2014レビュー(2/3)


すでにイングランドのクラブからも声が掛かるチョンブリーFCの育成年代選手。連携の成果はまだこれからだ。