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2016年12月21日 | ベトナム

「アジアの洗礼」もモノともせず、湘南ベルマーレ・ベトナムBTVカップ優勝!

2016年12月2日、ベトナム・ビンズオン省においてBTV-NumberOneカップが開幕した。この大会はベトナムのビンズオンテレビ(BTV)が毎年開催しているプレシーズンマッチで、ベトナムの飲料水メーカーNumberOneがスポンサーになっている。ベトナム国内の一部リーグチーム、そして海外からの招待チームを交えて、8チームにより予選リーグ、決勝トーナメントを戦うものだ。ここ数年日本のチームも招待されていて、2012年はアビスパ福岡、2015年は大学選抜チームが出場しているが、今年は湘南ベルマーレが招待された。

今年で17回目となるBTVカップは、「地元ベカメックビンズオンのために始まった」といった言われ方もあるが、年明けに始まる新シーズン(2017年ベトナム国内リーグ、Vリーグは何と1月8日に開幕という早さ!)に向けて、新加入選手のフィット具合の確認、契約当落線上の選手の生き残り、また招待チームから新たな外国人選手を物色、といった色々な意味合いもある大会で、ベトナム国内リーグチームも重視する、毎年恒例のプレシーズンマッチだ。

大会は中一日で連戦が続く大変厳しいスケジュール、雨が降る日も多かったためグラウンドもかなりの荒れ具合で、これぞ「アジアの洗礼」といった環境。「グラウンド、ボコボコっすよ!」という選手の声も多く聞こえたが、比較的若手、或いは大学生の練習生から多くが構成された今回の湘南ベルマーレにとっては、厳しいながらも良いアジアの経験になっただろう。しかも、大会開始直前に「キューバのカストロ議長が亡くなったため、12月4日に国民が喪に服すので、大会はスケジュールは一日延期」という決定が突然なされた。共に社会主義国で、ベトナム戦争中にも多くの支援を行ったキューバ、そしてその象徴であったカストロ議長はベトナムで大変尊敬されているためだ。とはいえ、まさかキューバの革命戦士の死が、遠くベトナムで、更に湘南ベルマーレの予定に影響するとは誰が想像しただろう…。遠征スケジュール、更にはグラウンドでの練習スケジュールなどは、ただでさえ緩い大会運営により混乱している中で、日程変更により更に混乱をの度合いを増すなど、「ザ・ベトナム」的なハプニングもしばしば・・・。

そんな中、湘南は予選リーグ最初の2試合、対ハイフォンFC(2016ベトナムリーグ2位、対バウグーAC(ブラジルより参加)と引き分け。予選突破が厳しくなったものの、3戦目のSHBダナン戦に2-1で勝ち予選グループを2位通過。最初は慣れない環境と、普段と異なるメンバーとで苦労も見えたが、徐々にコンビネーションが良くなり、調子を上げてきた。準決勝ではカンボジアリーグの2016チャンピオンチームでもあるボンケットアンコールFCに3-0と快勝。決勝戦では再度SHBダナンと相見えることとなった。

SHBダナンは2016年Vリーグ3位、年末にかけてはトヨタメコンクラブチャンピオンシップにも登場する実力チーム。強力フォワード、ガストン・メルロにボールを集める攻撃力・カウンターが持ち味だ。来年に向けては、先日U20ワールドカップ出場も決めたベトナム19歳以下代表から数名が新加入し、その彼らの腕試しという意味合いでもこのBTVカップ決勝は重要な一戦だ。

前半は0-0、そんな中でもSHBダナンの激しい(荒い?)チャージに双方選手が詰め寄るシーンがあるなど、試合は緊迫感あふれる展開に。後半先制したのはSHBダナン。湘南のセンターバック・パクテファンが負傷しピッチ外に出ていたのも影響してか、ダナンのエース、ガストン・メルロがコーナーキックを豪快にヘディングで押し込んだ。しかし湘南も負けてはいない。その僅か8分後、下田北斗の正確なクロスに湘南ユース出身の期待の若手、齊藤未月がヘディングで合わせて同点。そして引き分け、PK戦を予感させたその瞬間、左サイドからペナルティーエリア深くに切り込んだ吉田朋恭(産業能率大学より練習生として参加)が折り返したところを、山根視来が起死回生のアディショナルタイム決勝弾!試合は劇的な幕切れとなった。(試合の様子はYoutube上で公開中)


(c)SHONAN BELLMARE

(c)SHONAN BELLMARE


「選手個々人のレベルアップ、そして結果も両方目指す」と掲げられた湘南ベルマーレのベトナム遠征は、12月3日の初戦から10日間で5試合というタフな日程を乗り切り、日本勢初のBTVカップ優勝という形で幕を閉じた。来月1月初に早くも開幕する国内リーグに向けて仕上げの段階に来ているベトナムのリーグチームやその他の海外クラブを相手に、コンディション・時期的にも難しい環境だった若い湘南メンバーが勝ち切ったことは、非常に大きな意味がある。奇しくも、2016年に湘南ベルマーレがスローガンとして掲げたのは「挑越」、そしてベトナムは漢字で書くと「越南」。文字通り「越に挑み、越で挑んだ」大会で、湘南は見事に「挑越」を遂げた。


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(c)SHONAN BELLMARE


日本代表はワールドカップ常連なのに、ACL等では近年アジアで十分にその存在感を示せないJリーグ勢。親善大会であるBTVカップと同時期には、ベトナム代表の東南アジア覇者を争う、全国民注目のAFFスズキカップも行われていたため、ベトナム国内でも注目度が高いというわけではなかった。とはいえ、今回ベトナムに「湘南ベルマーレあり、Jリーグのチームはさすがだ」という足跡をしっかり残していってくれたことに、そしてベトナムで湘南スタイルを生でみることができたことに、在ベトナム・湘南ベルマーレサポーターとして筆者は大変感激した。これを機に、湘南ベルマーレが、そして更に他のJリーグクラブが、ベトナムと、そしてアジア各国と交流を深めていくことを願いたい。

(アジアサッカー研究所/今井)

※ 本稿は「ハーバービジネスオンライン」にも掲載しています