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2017年1月13日 | アジア

弱小国ラオスの快挙がメコンサッカーの潜在性の高さを証明/トヨタ・メコンクラブチャンピオンシップ2016


メコン地域のクラブチャンピオンを決める「トヨタ・メコンクラブチャンピオンシップ(TMCC)2016」が2016年11月5日から2017年1月8日までの日程で開催され、タイ代表のブリーラム・ユナイテッドFCが2年連続となる優勝を決めた。

メコン・クラブチャンピオンシップで2連覇を達成したタイ代表のブリーラム・ユナイテッドFC © Toyota Mekong Club Championship

メコン・クラブチャンピオンシップで2連覇を達成したタイ代表のブリーラム・ユナイテッドFC © Toyota Mekong Club Championship


2014年に創設されたTMCCは、今回で3回目の開催。参加クラブは、ラオスのランサーン・ユナイテッドFC(ラオ・プレミアリーグ2016優勝)、ベトナムのSHBダナン(Vリーグ2016 3位)、ミャンマーのヤダナボンFC(ミャンマー・ナショナルリーグ2016優勝)、カンボジアのボンケット・アンコールFC(カンボジアリーグ2016優勝)、タイのブリーラム・ユナイテッドFC(トヨタ・リーグカップ優勝)の5チーム。前回大会ではタイでの一発勝負だった決勝戦がホーム&アウェー方式に変更され、競技面でのさらなる充実が図られた。

2015年の第2回大会では、カンボジアのボンケット・アンコールが準決勝でベトナムのベカメックス・ビンズオンを破る快挙を果たしたが、今大会でさらなる驚きを提供したのがラオスのランサーン・ユナイテッドだった。ベトナム、ミャンマー、ラオスの代表クラブが1回戦総当りで対戦する第1ラウンドを1勝1分で突破すると、準決勝では敵地カンボジアに乗り込んでボンケット・アンコールを3-0で撃破。さらに勢いに乗ったランサーンは、決勝戦第1レグでもタイの強豪ブリーラムを1-0で破る金星をあげた。タイ・バンコクでの第2レグでは地力に勝るブリーラムに0-2で敗れたものの、前回王者をあと一歩まで追い詰めた善戦に称賛が集まった。

ランサーンからは再三の好守をみせたGKソーカタヴィ・ソーンダラが大会MVPに選出されたほか、主将のMFスカポーン・ヴォンチェンカムも2度にわたりマン・オブ・ザ・マッチを獲得する大活躍を見せた。しかし、メディアの注目を集めたのは、ブラジル出身のレオナルド・ヴィトリーノ監督だった。

対戦相手を綿密に研究して戦い方を調整する手腕だけでなく、選手のモチベーションを高める術にも長けた指揮官は、ピッチで選手たちが素晴らしい結果をみせた後の記者会見で「We are Lanexang. We are from Laos(我々はランサーン。我々はラオスから来た)」と現地の人々にも分かりやすい英語で何度も繰り返し、ラオスサッカーを代表していることを常に強調していた。


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ランサーン躍進の立役者となった主将のスカポーン(写真左)とヴィトリーノ監督 © Toyota Mekong Club Championship


ラオスサッカーの代表という意識は選手たちの間にも浸透していた。ランサーンの中心選手の1人として全試合にフル出場した日本人プレーヤーのMF内田昂輔は、「今大会はクラブにとって初めての国際大会で、ラオス代表も国際試合で全然勝てていない。そんな中でチャレンジャーとしてサプライズを起こしたいという気持ちがチーム全体にあった。1試合1試合を戦うごとに『これは本当にいけるぞ』という雰囲気になっていくのを感じた」と話す。

一方、決勝戦第2レグでランサーンの快進撃を止めてTMCC連覇を果たしたブリーラムの指揮官は、セレッソ大阪やFC東京などJリーグでも指導したことのあるランコ・ポポビッチ監督。昨年8月からブリーラムの監督に就任し、今大会が同クラブでの初めてのタイトル獲得だ。国内リーグの王座奪回が至上命題となっている今季のブリーラムにとって、開幕に向けて弾みをつける大会となった。

今大会の盛り上がりは観客数の増加にも表れた。第3試合のヤダナボンFC-ランサーン・ユナイテッドFC戦に1万8000人を超える観客が詰めかけたのをはじめ、6試合の総計で過去最高となる7万2800人を動員。全試合が地元テレビ局で放送されるなど、大会の認知度が高まっていることを印象付けた。


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ラオスの首都ヴィエンチャンで行われた決勝戦第1レグには、スタジアムの収容人員を上回る観客が押し掛け、スタンドは立錐の余地もない満員状態となった © Toyota Mekong Club Championship


華やかなスタジアムを離れたところでも、サッカーの普及と競技レベル向上を目的とした活動が行われていた。TMCCの大会スポンサーであるトヨタ・モーター・アジア・パシフィックは、同大会と並行して子どもたちを対象とした少年サッカー大会やサッカークリニックを開催する「トヨタ・メコンフットボールチャレンジ」をタイ、ベトナム、カンボジアで実施。トップクラブが参加する国際大会と草の根レベルでの普及活動という上下二方向からの取り組みで、メコン地域におけるサッカーの競技力向上とサッカーを通した地域貢献につなげることを目標としている。

サッカー弱小国とされていたラオス代表のランサーン・ユナイテッドが今大会で躍進したことは、メコン地域のサッカーが秘めている潜在性の高さを証明したものと言えるだろう。トヨタ・メコンフットボールチャレンジで才能を見出された若者がTMCCで大活躍をして、国際的な舞台に羽ばたいていく――。そんな未来が現実となる日がやって来るかもしれない。

(アジアサッカー研究所/安藤)