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2017年2月24日 | 中国

分給8600円、驚愕の中国バブルサッカーの申し子、デビュー戦で惨敗

20170208_193305兎に角スケールがデカい、連日騒がす華やかなニュースが世界のフットボールファンを驚愕させる。やっぱり欧州は凄いよな、いやいや違う、隣国・中国のサッカーリーグの話しである。
この冬の移籍市場でもビッグディールはあった。現役ブラジル代表オスカールをイングランドプレミアリーグのチェルシーから、また元アルゼンチン代表カルロス・テベスが「名門」ボカ・ジュニオルスから、獲得したのはどちらも上海のクラブだ。

1位 カルロス・テベス(上海申花)72万ユーロ≒約8640万円
2位 エセキエル・ラベッシ(河北華夏)57万ユーロ≒約6840万円
3位 オスカール(上海上港)48万ユーロ≒約5760万円
4位 クリスティアーノ・ロナウド(レアル・マドリード)44万ユーロ≒約5280万円
5位 リオネル・メッシ(FCバルセロナ)42万ユーロ≒約5040万円
5位 フッキ(上海上港)42万ユーロ≒約5040万円

昨年末にイタリア紙“ガゼッタ・デッロ・スポルト”が報じた「世界高額年俸選手~“週給”ランキング」のトップ5、毎年バロンドールの中心に居るご両名以外は皆が中国クラブの所属だ。もちろん推定ではあるのだが、テベスに到っては“分給8600円”という、もう何が何だか分からない世界である。数字で理解し難いのであれば、現地へ行って肌で感じる方が早い、とばかりに、彼らがAFCチャンピオンズリーグ(以下、ACL)本選出場を掛けたプレーオフへ出場するという情報を掴み、急遽上海へと飛んだ。

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「随所に感じるチャイナパワー」

降り立った上海浦東空港、現状でも十分な“大箱”なのだが、新しいサテライト棟の建設が進む姿がタキシングする機内から見て取れた。聞くところによると、2035年までに新たに第3ターミナルも建設予定だという。これでもまだ足りないということなのか、何処へ向かうのだ、恐るべし中国よ。

ブリスベーン・ロアー(オーストラリア)をホームへ迎えた試合は午後7時45分キックオフ、しかし筆者にとって初めてのスタジアムであり、余裕を持って2時間半前には隣接する蛇口足球場駅に到着していた。周辺には待ちきれない上海申花(以下、申花)ファンも多く目に付いた。
開始前、関係者へ取材を試みる中で、申花ファンの女性グループと知り合った。話しを進める内に、彼女等がスタジアム北側ゴール裏に陣取る「藍魔」というサポーター組織に属するレディースグループ「Extreme Keyboard Girls 12」のメンバーだということが分かった。これはリアルな話しが聞けるチャンスと、試合後に話しを聞かせてもらった。


───今日は残念な試合(0-2で上海申花が敗戦、ブリスベーン・ロアーが本選出場)だったね。シーズン初の公式戦をどう感じた?
「今は終わったばかりで失望しかないかな」

───敗因は何だったと思う?
「攻守の切り替えが遅かったし、まだ連携に問題があった。クラブは昨年の反省を踏まえた上で中国人選手の底上げの為にも、新たな外国人助っ人とコーチングスタッフを獲得した訳だけど、まだ時間は掛かると思う。ACLは残念だったけど、リーグ開幕までに調整して臨んで欲しいわ」

───首から下げている写真付きIDが年間パスだよね。幾らなの?
「1280元(約21800円)。私達はゴール裏だからこの金額だけどメインスタンドだともっと高いよ」

───なるほど。昨シーズンは年間パス以外に幾らぐらい使ったのかな?
「うーん、ちゃんと計算していないから分からないけど、恐らく2000元(34000円)以上は軽く使っていると思う。アウェイのチケット、移動費、宿泊費でね。安いものを探してはいるんだけど、気が付くとお金は出て行くわ~(涙)」

───申花同様に、上海上港(以下、上港)もビッグネームを獲得しているけど、どう感じているかな?
「良きライバルだよ。でも彼等はまだ新しいクラブでファンの数も多くないわ。スタジアムの雰囲気も含めて、いろいろな面で私達の方が上だとは思うけど」(※申花は1951年に、上港は2005年に創設)


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「中国であってアジアでない上海蛇口足球場」

“エル・アパッチェ(デべスの愛称)”の上海デビュー戦は上記の通り。雨が降り底冷えする寒さの中で行われたが、申花ファンは気温以上に寒く感じる帰路になったに違いない。
しかし試合中のスタジアムは、アジアのそれよりも欧州に近い雰囲気に感じた。今回は申花スタッフの計らいでメインのVIP席で観戦させてもらったのだが、ゴール裏のファンが仕掛けたチャントに乗って身形に気を配ったVIP客もが一緒に歌うのだ。しかも座席区分関係なく全席が立ちっぱなしでだ。Jリーグでは感じることのない類である。

引き続き中国経済が好調で、サッカー市場へも資金流入される環境が続くのであれば、近い将来、この「大国」がアジアサッカーを席捲する画は想像に容易い。しかし予算規模で試合の結果が決まらないのもフットボールの醍醐味である。
中国スーパーリーグ「中超」は3月4日に開幕する。まだまだ話題を提供してくれるだろう中国から目が離せない。


※ 本稿は「ハーバービジネスオンライン」にも掲載しています


佐々木 裕介(ささき ゆうすけ)
1977年生まれ、東京都世田谷区出身。旅行事業を営む傍ら、趣味が嵩じてアジアのフットボールシーンを中心に執筆活動を行うフリーランスライター。自らを“フットボール求道人”とも呼ぶ。また「スポーツ×トラベル」の素晴らしさを伝える“スポーツツーリズムアドバイザー”としても活動中。