• コラム

2015年7月7日 | アジア

Jリーグ、幸せの国・ブータンへ(1)ティンプー編


ブータンの子どもたちにJリーグ各クラブのファン、サポーターの皆さんから寄贈されたユニフォームを届ける活動が実施されました。この活動はこれまで、カンボジア・東ティモール・ミャンマーで実施されていて、ブータンで4カ国目となります。

今回から日本政府が推進する「スポーツ・フォー・トゥモロー認定プログラム」として実施されたこの活動に、ボランティアとしてアジアサッカー研究所が同行し、Jリーグと一緒に、ブータンの子どもたちへユニフォームを届けてきました!

「スポーツ・フォー・トゥモロー認定プログラム」について
http://www.jleague.jp/release/post-36230/(Jリーグプレスリリース)
http://www.soccer-king.jp/news/japan/20150703/327490.html(Soccer King)




7月2日(木)の早朝、タイ・バンコクのスワンナプーム国際空港で今回ブータン入りするメンバーと合流した。Jリーグ国際部から2名、ボランティアが2名の構成で、合計4名のスタッフで行われた。

インドのグワハティ空港を経由して、昼前に山間にあるブータン王国のパロ国際空港に到着。バンコクから4時間ほどのフライトで行けるのだから距離的にそう遠くはないが、伝統的な暮らしを重んじ外国からの情報を制限してきた国だけに、まるで時代を超えてタイムスリップしたようなのどかな風景が広がっていた。

ブータン国王夫妻がお出迎え

ユニフォームもすべて無事に到着!


空港では、2011年に来日して話題になったイケメン国王(ジグミ・ケサル・ナムゲル・ワンチュク第5代国王)と、美しすぎる王妃(ペマ王妃)のロイヤルカップルが写真でお出迎え。Jリーグファンの皆さんからお預かりした合計412枚のユニフォームも、6箱に別けられ、1つのロストもなく無事到着。これらをチャーターしたバンに積み込み、山道を走ること1時間半、首都ティンプーに到着した。

ティンプーにあるブータンサッカー協会でサッカークリニックの打ちあわせ。今回はティンプーとパロの2都市でクリニックを行い、そこで子どもたちにユニフォームを渡す予定。ブータンでもサッカーは一番人気のスポーツ(他はバスケットボール、アーチェリーなど)で、街の至るところでストリートサッカーに興じる子どもたちの姿を見ることができる。ワンチュク国王も、近ごろは公務で忙しいため機会が減ったものの、毎週末プレーしていたというほどのサッカー好き。協会には、裸足でボールを追う国王の貴重な写真が飾ってあった。

気候や植生が日本に近く、のどかな風景が広がる

第5代ワンチュク国王がサッカーをする写真。裸足!


明けて7月3日(金)、午前中にティンプーの街の中心にある、チャングリミタン・スタジアムに200名を超える子どもたちが集まった。このスタジアムはブータン王国が成立する以前の戦争で決戦の場となった敷地に、市民が集まれる場所、憩いの場としてスタジアムが整備されたということらしい。サッカーのピッチだけでなく、国王の戴冠式や建国記念日の式典などが行えるようスタンドの反対側には式典用の建物がある珍しい構造だった。FIFAランキング最下位、206位の国ではあるが、市民の心のよりどころとしてサッカー場があるのはある意味サッカー先進国ではないかとさえ感じた。

子どもたちはJリーグ各クラブのシャツを身にまとって、ブータンサッカー協会コーチ(在ティンプーのクラブから派遣)の指導のもと、いくつかのグループに分かれてミニゲームやテクニカルトレーニングに興じた。各グループは、少し大きな子どもがリーダーとなって、小さな子どもたちのプレーをサポートした。かつての日本でも年長者が年少者の面倒をみて遊ぶ姿は自然に見られたが、これが「幸せの国」が残そうとしている風景なのかもしれない。

色とりどりのユニフォームを着て記念撮影。 かけ声は「クズザンポー!(こんにちは!)」

コンサドーレ札幌 vs サンフレッチェ広島!


子どもたちはクリニックが終了したあと、日本のサッカーファンから届けられた気持ちのお礼にと、歌を歌って感謝の気持ちを現してくれた(この映像はいずれJリーグの公式SNSなどで公開されるだろう)。また嬉しいことに、このクリニックにはロイヤルファミリーも参加された。第4代ブータン国王のお孫さんがふたり、他の子どもたちに交じってゲームを楽しまれた。

ブータンの国営放送が取材をしてくれました

アジ研の研究員もみんなの前で歌うことに


クリニックのあと、我われメンバーは協会に隣接したグランドで行われていたブータンA代表チームのトレーニングを見学。日本サッカー協会のアジア貢献活動で派遣されている築舘 範男監督や代表選手たちと、短い時間ではあったが交流することができた。

FIFAゴールプログラムで建設された立派なグランドで練習を行っています


>>冷静と情熱のあいだ編(中編)につづく

(アジアサッカー研究所/長谷川)