• コラム

2018年1月1日 | 香港

2017年香港サッカー、次のステージに向けての過渡期へ


■ 女性指揮官率いるイースタンがアジアの舞台に

香港勢として、初めてACL本大会に出場したイースタン(東方)はG組に分けられ、広州恒大、水原三星、川崎フロンターレと同組となった。

28歳と若い女性指揮官が率いる香港クラブの参戦ということで注目を集めたが、G組では6戦未勝利の最下位に沈み、大会から姿を消した。

一躍時の人となった陳婉婷は、香港プレミアリーグ終了後に辞任。現在はイースタンに籍を置きながら、AFC-Pro指導者ライセンスの取得のため現場から離れている。


■ 帰化選手やハーフ選手が活躍するキッチーがリーグ制覇

香港プレミアリーグは、香港代表の主力選手がベンチスタートを余儀なくされる程の戦力を擁する名門キッチー(傑志)が、過密日程で疲弊するイースタンを振り切りタイトルを奪還した。

ジョッキークラブ(日本のJRAに相当)からの賛助により、長期的な安定資金を得て運営していることで、香港で随一の戦力(帰化選手、ハーフ選手、中国出身選手など)を擁している。

主力のほとんどが香港で出生した選手ではないため、大衆からはあまり支持を得ていないが、質の高いフットボールを見せる唯一の香港クラブとして、アジアの舞台での活躍が期待されている。

キッチーはACL2018へのストレートインを決めており、抽選の結果E組(全北現代などと同組)に分けられている。


■ 諸制度の変更が施される香港プレミアリーグ

香港サッカー協会は、香港におけるサッカー競技発展の潮流の中でリーグの完全プロ化を目指し、2014年に香港プレミアリーグを発足した。

それまでのリーグはプロ・アマが共存していたが、厳格なクラブライセンス制度を導入して、本拠地の制定、ライセンス指導者、プロ契約書類による選手登録を義務とした。

また、現在は制度の移行中だが、アジアサッカー連盟の指針に従い、外国人選手枠の削減と、これまで認めていた香港ID(市民権を得た外国人)選手の国内選手登録からの除外を推し進めている。

この制度が正式に盛り込まれた場合、現在プレーしている多くの香港ID選手(7年以上在籍した外国人や、香港にルーツを持つ外国籍のハーフなど)は、国内選手として登録できなくなる。

つまり香港ID選手は、このままでは外国人選手枠で登録されない限り、香港プレミアリーグではプレーを続けられなくなるのだ。


■ 香港代表選出をめぐる選手たちの意欲と葛藤

香港代表選手の選出についても、自国パスポートを所持することが厳格化しているため、香港サッカー協会は、上述のハーフ選手などの国籍変更を促している模様だ。

しかし、それらの選手たちの背景には、本人や家族のイデオロギー的な諸問題が介在していることもあり、一筋縄では行かない事情が明らかになっている。

そしてこの年末になり、これまで香港ID選手の国籍変更を促し、積極的に香港代表に招集してきた韓国人のキム・パンゴン監督が、韓国サッカー協会での要職に就任することが決まり、香港代表監督を辞任するという報道があった。

今後も引き続き、香港ID選手の国籍変更の方向性が維持されるのか、2017年の香港サッカー界は、有力選手たちの国籍の選択という難しい問題を発生させた1年となった。



池田 宣雄(いけだ のぶお)
42歳の時に香港で執筆活動を始めた遅咲きのフットボールライター。
アジアコスワース代表。香港サッカー協会会員。アジアサッカー研究所中華圏担当。