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2015年1月20日 | ベトナム

揺れる監督人事、SEA GamsでU23ベトナム代表の指揮を執るのは日本人かフランス人か

SEA Gams2015

SEA Gams2015

東南アジア版五輪と言われる東南アジア競技大会(SEA Gams 2015)が6月にシンガポールで開催される。東南アジア各国のU-23代表が出場する同大会のサッカー競技は、AFFスズキカップと並んで、注目度が高い大会として知られる。ベトナムを率いるのは、A代表とU-23代表監督を兼任する日本人の三浦俊也氏だが、最近、ベトナム国内では、元U-19代表監督で、現ホアン・アイン・ザライ(HAGL)監督のフランス人、ギリアム・グレッチェン氏を推す声が上がっている。

HAGLには、昨年旋風を巻き起こした「黄金世代」U-19ベトナム代表メンバーの7割が所属しており、今季はその殆どのメンバーがトップチームに昇格し、リーグ戦を戦っている。ベトナムサッカー連盟(VFF)は若手を底上げする戦略を打ち出しており、今回のSEA GamsではU-19代表のメンバーらに国際経験を積ませる方針。グレッチェン氏を推す声が上がっているのには、ジュニア世代からU-19代表のメンバーを指導し、選手を熟知していること。そして、SEA Gamsの開催期間がA代表のワールドカップアジア予選と日程が重なる可能性がある、という2つの理由がある。

但し、VFFは昨年5月に三浦氏とA代表とU-23代表の監督を兼任するという内容で契約を結んでおり、三浦氏自身も「SEA Gamsの開幕を心待ちにしている」と述べているため、U-23代表監督の座を明け渡すとは考えにくい。なお、VFFは以前、グレンチェン氏のU-23代表アシスタントコーチ招聘を検討しているとしていたが、同氏は「監督としての招聘でなければ応じない」と断りを入れている。

また、開幕戦を白星でスタートしたHAGLだが、その後は2連敗しており、期待された外国人選手2人も、1人は心臓疾患のため、1人は能力が低いため、早々に契約を解除されている。グレッチェン氏自身についても、相手チームに対するスカウティング不足や選手交代のタイミングの悪さ、戦術パターンの少なさなどが指摘され、監督としての手腕にも疑問符がついている。

一方の三浦氏は、A代表を率いて出場した昨年のスズキカップでベスト4進出。U-23代表を率いた仁川アジア大会では、強豪イランを4-1で破ってベトナムを大会初の決勝トーナメントに導くなど、経験実績共にグレッチェン氏を上回っているため、この監督人事問題はいずれ収束するだろう。しかし、三浦氏が質の高いコーチやトレーナーを求めているのは事実で、スズキカップ後に任期満了で帰国した藤本栄雄トレーナーに代わる新たなフィジカルトレーナーを日本から招聘するという話も出ている。グレッチェン氏はコーチとしての実績は十分なだけに、代表コーチ就任が実現すれば、大きな力になると思われるが、実現するか否かはVFFが今後、同氏を説得できるかにかかっていると言えそうだ。

SEA Gams は、6億人の人口を誇る東南アジアが注目する2年に1度のスポーツの祭典だけに、この市場の開拓を狙う各国の企業にとっても大きなビジネスチャンスとされており、前回のミャンマー大会では、パナソニック、キヤノン、富士ゼロックスの日系3社が公式スポンサーに名を連ねた。開幕まで5か月を切った今大会では、まだ日系企業がスポンサーに名乗り出たというリリースは出ていないが、今後、協賛する日系企業が現れる可能性は高いと見られる。東南アジア進出を急ぐ日本サッカー界にとっても、日本人監督率いるU-23ベトナム代表が活躍すれば、東南アジアでの日本サッカーおよび日本人指導者への注目度が一層増すことなり、今後の人材交流促進に大きく寄与するだろう。

(アジアサッカー研究所/佐藤)